咲き誇れ、麗しい華。

「お腹はもう平気?」

「はい。……覚えてたんですか?」

「うん。あそこまで苦しんでた人、初めて見たから」



横に座って顔を覗き込んできたお兄さん。

やっと落ち着いたかと思ったら、今度は顔を直視できなくなった。


ここにお世話になったの、1週間以上も前なのに。記憶に残るほどひどかったのかな。


というか、そんな至近距離でまじまじと見ないでほしい。まぶたパンパンに腫れてるだろうし、目も充血してると思うから。

こんなイケメンさんに朝から汚い顔を見せるなんて申し訳なさすぎるよ……。



──キーンコーンカーンコーン……。



ようやく涙が収まってきたところで、ホームルーム終了のチャイムが鳴り響いた。



「この後授業だけど……戻れそう?」

「…………」



質問に答えられず、黙り込む。


最初に鳴った時は、戻らなきゃって、焦りの音だった。だが今は、苦痛の音でしかない。

あんな逃げ方して、みんな心配してるはず。


でも……。



「……難しい、か」

「すみません……」

「謝らないでいいんだよ。それぞれ事情があるんだし」