咲き誇れ、麗しい華。

「もう! チビだの犬だのうるさいなぁ! 連勝記録伸ばしてでっかくなってやるぅぅ」

「はいはい。頑張ってね」



一気飲みする私の頭を笑いながらポンポンした、目鼻立ちくっきりの女子生徒。

彼女は仲原(なかはら) 真子。小学校時代からの友人。

姉御肌で頼もしい性格なのだが、このように少々Sっ気がある。



「まだ記録伸ばすのかよ。マジでごうよ……育ち盛りの犬だな」

「もしデカくなったら、今度はデカ咲って呼ばなきゃな」

「いや、そこは普通に風咲って呼んでよ!」



ケラケラ笑う彼らにすかさずツッコミを入れた。

声が大きかったのか、他の班の人たちまで笑っている。


この様子じゃ、当分の間はあだ名呼びかな。


誤解のないよう言っておくが、決していじめられているというわけではない。

ふざける人が多いだけで、先生やおとなしいタイプの人はきちんと名前で呼んでくれている。

これでも、入学したばかりの頃は、名字で呼ぶ人が大半だった。