咲き誇れ、麗しい華。

勝利を噛みしめていたら、教卓で苦笑いしている担任の先生に背中をポンと押された。

牛乳を持ち、ルンルン気分で自分の席へ戻る。



「おかえりチビ咲! 相変わらずつえーな! 今回で何連勝?」

「3連勝!」

「うわぁ、犬みたいな顔して強欲ぅ」

「はぁ!? 顔は関係ないでしょー!?」



同じ班の男子たちを睨みながら着席し、牛乳パックにストローをさす。


私は風咲 麗華(れいか)。今回の牛乳じゃんけん大会で見事3連勝を果たした中学1年生。

童顔で背が低く、男子には「チビ咲」と呼ばれている。



「ちょっと、私の親友をいじめないでくれる?」



急いで飲んでいると、いきなり横から肩を抱き寄せられた。



「確かに飲み意地は張ってるけど、強欲は言いすぎよ。せめて育ち盛りの子犬って言わなきゃ」

「ちょっと真子(まこ)さん? 全然フォローになってませんよ?」



肩に乗った手を強めに払いのける。

育ち盛りの子犬って、私は赤ちゃんか!