咲き誇れ、麗しい華。

ぎこちなく返答し、そっと電話を切った。


……病人だから、気を遣ってくれたのかな。今まで聞いた中で、1番優しい「おやすみ」だった。


例えるなら、頭をポンポンと撫でるみたいな感覚。

寝る間際とか、目を閉じてたら、恋人に囁いているようにも──。



「盛り上がってたのにごめんね。でも約束は約束だから」

「……はい」



画面をオフにしてスマホを渡した。

親子喧嘩を聞かれるのも恥ずかしいけど、こっちもなかなか……。



「侑希くん、だっけ? 今月でいなくなるって言ってたけど……転校するの?」

「う、うん」

「そう。……真子ちゃんとは、連絡は取ってないの?」



追及されるのかと思い、ドキッとしたのもつかの間。

え、なんでここで真子の名前が? というか最近やたらと話題に出てくるな。



「取ってないよ、もう」



ぶっきらぼうに答えて、クローゼットからパジャマを取り出す。


連絡はいつも一方通行。メッセージを送っても基本既読スルー。

珍しく返信が来たかと思ったら、感謝のかの字もない、トゲトゲしい言葉が並んでる。


あんな高圧女王様、もう、友達なんかじゃ──。



「なんでまた急に?」

「あぁ、こないだ買い物中に、真子ちゃんのお母さんに会ってね。──今月で、県外に引っ越すって聞いたから」