学年末テストが終わり、卒業シーズンに突入した3月。


学校では、給食にお赤飯が出たり、校内放送で3年生からのコメントが流れてきたりと、感傷的なムードが漂い始めた。


兄も無事に高校を卒業し、進学先も決定。

大学には家から通うとのことなので、現在、部屋の片づけをしながら新生活の準備を進めている。


一方、在校生の私はというと──。



「何か食べたい物はある?」

「ゼリー……。味は、なんでも……」

「ゼリーね。お水とティッシュはここに置いてるから。なるべく早く帰ってくるけど、何かあったらお兄ちゃんに言うのよ?」



みんな大好き金曜日の朝。

私服からパジャマに着替える私に母はそう言うと、ベッド脇のテーブルにペットボトルとストローを置いて部屋を出ていった。



「ううっ……もう、無理……っ」