咲き誇れ、麗しい華。

これが、今の私なりの精いっぱいのアピール。


本命だって、今はまだ気づかなくてもいいから。

ほんの少しでも、一瞬でも、ドキッとしてくれたら──。



「へぇ〜。やるねぇ、ソウマくん」



ふふふっと笑い声が聞こえて目をやると、凛華先輩がスマホをいじっていた。



「なになに? 朋葵くんから?」

「うん。今から帰るって」

「え、もう渡したの!? 早くない!? ご近所さんなの!?」

「うん。放課後もたまに近くの公園で一緒に遊んでる。なんか、あっちもチョコ用意してたっぽくて、ホワイトデーにデートすることになったんだって」



笑顔から一転、再び怜央先輩の口があんぐりと開く。

何もわざわざここで教えなくても……。



「もう今日はとことんやけ食いしてやるぅぅ」



あーあ。みんなが意地悪するから、怜央先輩拗ねちゃったよ。

大人になったら、やけ酒に走らないことを願おう。


2人が帰ってくるまでの間、「まだ付き合ったわけじゃないので大丈夫ですよ」と彼の背中を擦ってなだめたのだった。