咲き誇れ、麗しい華。

侑希side



教室に復帰して1週間が経った休日の午後。

スマホと小銭入れを持って家を出て、自転車を走らせる。


住宅街にある滑り台と砂場だけの小さな公園。

特売日は駐車場が満車になるほど大人気のローカルスーパー。

毎年誕生日ケーキを買いに利用していたケーキ屋さん。


生まれ育った町の風景を、1枚1枚、写真に残していく。


──転校すると聞かされた時、頭が真っ白になった。


なんで? 今までそんな雰囲気一切なかったよね?

どうしてお父さんなの? 他の人じゃダメだったの?

前に話してたよね。職場に独身の同期が何人かいるって。その人たちに代わってもらえば良かったじゃん。

誰も行きたがらなかったから自分が引き受けるしかなかったの?

そもそも単身赴任する選択はなかったのかよ。


両肩を掴んで激しく揺さぶり、生まれて初めて、親にたてついた。



「……お腹空いた」