「あっ、あれって……」



登校ラッシュの時間が過ぎ、人気がなくなってきた朝。

昇降口前の掲示板に貼り出されているポスターが目に入り、足を止めた。



「『毎月の楽しみとして、月に1回お菓子OKの日を作る』へぇ〜、持ち込みオーケーはいいなぁ」



柔道衣に身を包んでいる彼の横に書かれた公約を読み上げた。


バレンタインデーとホワイトデーだけは暗黙の了解でオーケーになってるらしいけど、本来は禁止なんだよね。

月に1回なら学業に支障が出ることはなさそうだし、ぜひとも選ばれて実現してほしい。



「麗華ちゃん、おはよう」

「あっ、おはようございます」



他の候補者も見ていたら、登校してきた侑希先輩と合流した。



「おっ、早速貼られてる」

「当選したら、毎月お菓子持ち込めるようにするらしいです」

「へぇ、それはまた嬉しいことを。こんなこと言われたら、お菓子好きな人はみんな投票したくなっちゃうよ」