咲き誇れ、麗しい華。

まさか出てくれるとは思わなくて、上ずった声で返答する。



「今、だい、じょうぶ?」

【大丈夫だけど。なんか用】

「あぁ、えっと……」



心の準備ができていなかったため、声を詰まらせる。



【なに、間違えてかけたの?】

「いや! ちゃんと用があって……!」



せっかくのチャンスを無駄にしたくない。

切られてしまわないよう、頭をフル回転させて言葉を探す。



「あの、さ、図書室には、行ってる?」

【当たり前でしょ。授業でも使うし】

「そ、そうだよね。……鹿江先輩とは、今も会ってる?」



恐る恐る尋ねたら、小さく「は?」と聞こえて、肩がすくんだ。



【……会ってないけど】

「えっ。でも、図書室に行くなら、見かけるはずじゃ……」

【見かけるのと会うのは違うでしょ。あっちは受験生だし、もう最近は委員会の日以外は来てない】

「そっ、か。会話も、ほとんどしてない感じ?」

【ええ。あれ以来、さっぱりゼロよ】