咲き誇れ、麗しい華。

いやがらせだと薄々気づいてはいた。けど、誰にも相談はしなかった。

まさか彼が、なんの理由もなしにそんなことするはずないって、信じたくなくて。


これは試練だ。

親ライオンが子ライオンを崖から落とすように、あえて厳しくすることで成長させようとしているのだ。

そう自分に言い聞かせて日々を乗り切った。


けれど、夏の大会が終わった後──。



『お前はすげーよな。足速いし、パスも的確だし、コツを掴むのも上手いし。おまけに体力バカだし』

『汗かいても爽やかで、入学して1ヶ月でファンついちゃって』

『先輩からも後輩からも、先生からまでも好かれてる』



誰もいない学校の更衣室で、憧れの存在からのお褒めの言葉。

本来なら、飛び上がるほど嬉しいはずなのに。

どれも投げやりで、吐き捨てるかのような口調。


長椅子にうなだれて座る彼に声をかけようとしたその瞬間、空になったペットボトルを投げつけられて──。



『なんで俺の居場所まで奪うんだよ……っ』

『──お前なんか、いなきゃよかった』