体育館裏は、晴樹に告白された場所でもある。

 わたしたちの始まりの場所で、終わらせよう。


 お日様が出ている昼のうちは温かくなってきた今日(こんにち)

 それでも風はまだまだ寒くて、わたしは晴樹を待ちながら縮こまっていた。


「美穂!」

 そこへやってきたのは息を切らせた晴樹。

 わたしの大好きな彼氏。
 ――今はまだ。


「悪い、部活の後輩にも捕まっちまって……大丈夫か? 寒かっただろ?」

「大丈夫……でも、寒いには寒いからあまり長々とはしないでおこっか」

 このあとだって晴樹は忙しい。

 あまりわたしだけに時間を取られるわけにもいかないよね。


 ……それに、長引くとわたし泣いちゃいそうだし。


「……そうだな」

 少し寂し気な微笑みを浮かべた晴樹は、近づいたと思ったらためらいもなくわたしを抱きしめた。

「っ! ど、どうしたのいきなり」

 物凄く動揺して一気に体温が上がるわたしに、晴樹は優しい声を降らせる。


「こうした方があったかいだろ?……それに、最後に美穂を感じていたい」

「……晴樹……」

 晴樹の思いは、わたしも同じで……。

 わたしも腕を晴樹の背中に回して彼の胸に顔を埋めた。