お家デートはドキドキと温かい感情で終わって、心の中に冷たい風が吹くことはなかった。

 でも、別れはどうしたってやってくる。


 一週間もないほんの数日なんて、本当にあっという間に過ぎてしまった。


 この式が終わったら、本当に最後。

 晴樹と会って話せるのは、次はいつになるのか。

 半年……ううん、下手をしたら数年後になるかもしれない。


 それを思うと、卒業式の雰囲気も相まって何度も涙が目を潤ませた。

 でも零さないようにグッと我慢する。


 最後に晴樹と会う顔が、涙でグチャグチャな顔なんて嫌だもん。


 教室で担任の先生から祝いの言葉をもらい、みんなそれぞれに別れの言葉を交わし合う。

 とは言ってもほとんどが地元の高校に進学するし、それ以外でもせいぜいが隣町の高校だ。

 晴樹ほど遠くに行く人はいない。


 そのせいか、晴樹との別れを惜しむ人達が多かった。


 わたしは別の高校に行く友達と一通り別れを惜しみ合いつつ、休みの日には一緒に遊ぼうねと約束を交わす。

 そうしてから、(いま)だに多くの人に囲まれている晴樹より先に教室を出た。


 卒業式が終わったら体育館裏で会おうと決めていたから、そこで待つために。