「そんなに、だよ。……今美穂に好きって言ってもらえたら本当に爆発するかも」

「あ……」

 その言葉に、わたしは自分が一番伝えたいと思っていた言葉を思い出す。

 でも本当に爆発されたら困ると思ってすぐに口に出せないでいると、晴樹がある提案をしてきた。


「美穂……卒業式が終わったら、美穂が俺のことどう思っているのかちゃんと言葉で教えて?」

「え?」

「そうしたらさ……その言葉ごと、美穂の唇貰っていいか?」

「っ!?」

 衝撃的な言葉に、わたしの心臓は数秒停止したんじゃないかと思った。


 ……でも、そうだ。

 そう言えば晴樹はキスしたいってはじめから言っていたっけ。

 その……口に……。


「……あー、やっぱ今の忘れ――」
「いいよ」

 忘れてと言いかける晴樹を遮ってOKだと告げる。


「え……?」

「……いいよ。晴樹がしたいって思ってくれるなら……わたしのファーストキス、貰って?」

 大好きな恋人に、せめて最高の思い出を送りたい。

 晴樹がしたいって言うなら、応えてあげたい。


 そうすれば、それはわたしにとっても最高の思い出になると思うから。


「そ、そっか……」

 自分で提案したくせに、照れてそっぽを向く晴樹。

 今は両手が塞がっていて頬をかくことが出来ないからか、少しむずがゆそうにしていた。


 それがなんだかちょっと可愛く見えて……。

 なおさら好きだなぁって思った……。