「っ!!」

 思わず息を呑んだわたしだけれど、背中や肩に回った腕に……指の間に感じる晴樹という存在に……意識のすべてを持っていかれる。


「……美穂?」

 囁くように名前を呼ばれて、耳の奥まで熱を持ってしまったかのようにトクトクと脈の音が聞こえた。


「は、るき……」

 何か言わなきゃと声を出すけれど、彼の名前すらまともに口に出来ない。

 それくらいドキドキして、どうしていいのか分からなかった。


「っ……。美穂、俺さ……今すげぇドキドキしてんだけど……もしかして美穂も同じ?」

「っ!」

 言い当てられて恥ずかしいという思い。
 そして晴樹も同じだと聞いて嬉しいという思い。

 照れくさくてつい否定したくなったけれど、さっき自分の思いをちゃんと伝えていこうと決めたばかりだったのを思い出した。


「……そぅ、だよっ」

 自分で決めたことでも恥ずかしいものは恥ずかしい。

 だから肯定の返事も小さく素っ気なくなってしまったけれど……。


「……マジか……。ヤバイ、嬉しい……美穂が好きすぎて可愛くて心臓爆発しそう」

「そ、そんなに?」

 わたしだって爆発しそうな状態なのに、晴樹もだとは思わなくてビックリする。