今はマスクで隠れて見えないけれど、鼻が低いことがコンプレックスなわたしの彼氏。


 夏の終わりころに付き合い始めたからまだ半年も経っていない。

 そんな彼と、ひと月後にはお別れしなきゃいけないんだ。


 わたしの志望校は地元。

 春樹の志望校はここから新幹線を使っても二時間以上かかる場所。

 気軽に会ったり出来なくなる。


 春樹には建築家になるっていう夢があるし、わたしはそれを応援したいって思ってる。

 だから、最初から分かっていた別れ。


 でも、お互いが志望校に受かったことで、そのカウントダウンが始まってしまった気がした。


「……なぁ、美穂」
「っ!?……なぁに?」

 真っ直ぐ前を見ていた晴樹が急にこっちを見たからドキッとしてしまう。

 見ていたのバレたかな?


「あと一か月でさ……俺ら離れ離れになっちゃうじゃんか」
「……うん」

「遠距離恋愛なんて長く続かないって言って、一度お別れしようって言ってたよな?」
「……うん」

 はじめにそう言ったのはわたし。

 マンガでも、ドラマでも、遠距離恋愛は続かないもの。


 約半年前晴樹に告白されて付き合うことになって……。