「ど、どうしたの? そういうことはたまにしか言わなかったのに……」

 ドギマギしながら、わたしも直球で聞いてみた。

 晴樹の表情を見る限りではテキトーなことを言ってるわけじゃないとは思うけれど……。


「うん……もっと、ちゃんと気持ち伝えていこうと思ってさ」

「え?」

 どういうこと? と首を傾げる。


「……卒業式まで、もう一週間ないだろ?」

「っ!」

 分かっていたことだけれど、ちゃんと言葉で突き付けられると嫌でも実感する。

 卒業式が終われば晴樹は引っ越しの準備も本格的にしなきゃならなくて、本当にもう会えなくなる。


「だからさ、後悔しないように伝えれることは伝えていきたいなって……なんて、キモいかな?」

「そんなことないよ!」

 頬をかいて、でもわたしにキモいとか重いとか思われたくなくて苦笑いしているって分かった。
 だからすぐに否定する。


「恥ずかしいけど……その、嬉しいし。……わたしも、ちゃんと伝えるようにしてみる」

 残りの時間は限られているけれど、ちゃんと伝えてみよう。


 晴樹がわたしの些細な仕草まで見ててくれてたことが嬉しいとか。

 わたしが、晴樹のことをちゃんと好きなんだってこととか。