でも、好きとか可愛いって言われて嬉しい反面照れ臭い。

 もしかしてわたしが眼鏡を外すたびにそんなことを思っていたのかな?


「……そんなことはじめて知ったよ」

「まあ、はじめて言ったしな」

 頬をかきながらそう言って晴樹は座る様にうながした。
 うながされるまま用意されていたクッションのところに座ると、わたしもひとつ晴樹のクセを言い当ててみる。


「……そういえば、晴樹にもクセあるよね。照れたときとか恥ずかしいときに頬をかくクセ。しかもいっつもおんなじ場所」

「え? かいてる自覚はあったけど……おんなじ場所だった?」

「うん。そこは無意識だったんだね?」

 晴樹自身が気づいていないことをわたしが気づけていたことに、何となく優越感を覚えて得意げになる。


「みたいだな……。にしても美穂、結構俺のこと見てくれてたんだ?」

「っ! ま、まあ……。でもそれは晴樹だって……」

「そりゃあ、俺は美穂のこと好きだからな」

「っ!」

 ストレートに言われてドキンと心臓が跳ねる。


 でも何だかおかしい。

 確かに晴樹はわたしのことを好きで可愛いと言ってくれることはあるけれど、それはたまにだったしいつも照れ臭そうにして頬をかいていた。

 こんな風に照れもせずに直球の言葉を続けざまに言うなんて、いつもの晴樹を思うとちょっと変な感じがする。