私達中学生はそこでキャンプをして一泊し、翌日に頂上まで登る計画が立てられていた。


『なぁ知ってるか?』


山道を登り始めて30分ほどしたとき、タイセイが後ろから声をかけてきた。


額に汗が滲んでそろそろ疲れた出始めたときだったので、私は思わず不機嫌そうな顔を向けてしまった。


『知ってるってなにが?』


相手がタイセイだとわかり、慌てて笑顔を見せる。


『この山、キャンプ場までは車で行けるんだ』


『えぇ!?』


そのときの私は本当にヒドイ顔をしていたのだろう、タイセイは大きな声で笑い出した。


お腹を抱えて笑うタイセイにムッとした顔を向ける。


『今すっげー顔したな』


『タイセイが嫌なこと言うからでしょ』


『だって、小学生の頃家族で来たから知ってたんだよ』


そっか。


私は子供でも登れるコースしか歩いたことがないから知らなかった。


確かに、キャンプ用品を持って山道を登るのはかなりきつそうだ。