「……けど、アンタは佐伯先輩のこと、心から好きなんでしょ?」

「当たり前です!!」


先輩のこと、たまらなく好きだ。


「じゃあ、なんでそんな顔してんのよ」

「えっ……?」

「さっきから、せっかく綺麗な顔が台無しじゃない。ほら、笑って」


ぺちぺちと頬を軽く叩かれる。


「え、えっと……」

「……なに言われたのよ」

「あっ……。……千星先輩には、小さい頃から好きな女の子がいて、その子のことをまだ想ってるって言われて」

「はぁ!?なにそれ!?」


屋上の手すりをガンッ!!と音を立てて叩いた小華井先輩。


「あり得ないんだけど!?」

「そう……ですよね!」

「ええ、あり得ないわ。そんなヤツ、振っちゃえば———いや、待って」

「えっ?」


さ、さすがに振るのは嫌だけれど……。


「……もしかして、その幼なじみの女って、アンタ、真白じゃないの?」

「え?わ、私……?」


いや、でもまさか……。


「少しでも、思い出したりすることないの?」

「えっと……最近、急に千星先輩に似た少年が夢に出てくることがあったり、フラッシュバックしてきたり……」

「……それ、確定じゃない?」