あんなヤツ、知らないな。


「お前、告白を断ったらしいな」

「……なにか問題が?」

「いや、お前の人生なんだから結婚相手が真白ちゃんなのは賛成だ。だが、小華井の社長がうるさくてな」


……あれ、小華井って財閥だったっけ。

真白ちゃんが僕の中でトップの上品だから、下品なアイツはなんだったのかわからないぐらいだ。


「お前と婚約しろと」

「……はは」


父さんだって、知ってるはずだ僕が大の女嫌いなこと。

それに、父さんだって女嫌いだし。


「あともう一つ」

「なに?」

「鷹司蒼が、真白ちゃんと婚約したいと思っているという噂を聞いたからそれだけ伝えておく」


……鷹司蒼……。


真白ちゃんの幼なじみという、アイツか。


はぁ……ライバルが多すぎるな。


真白ちゃんが優しくて、誰でも惚れてしまう気持ちは痛いぐらい一番わかると断言できる。


ああそうだ、七宮一弥、アイツも厄介そうだ。


……とにかく、真白ちゃんを守り抜かないと。


あの子の隣は、絶対に僕じゃないといけない。


醜い独占欲と、素直に思う気持ちが交差して、複雑な感情が出来上がる気がした。