ミレニアムファッションが再流行している。
 平成の初期に流行した丈の短いトップスや原色を多用した目立つ服装で都会の街を闊歩していた少女たちが20年ほどを経て、また違う世代となって登場した。
 インターネットのニュースが言うにはそうらしいが、私がハチ公前で見た限りでは「地雷」「量産」ファッションの少女の方が多いと見えた。
 
 時折、景気が悪くなると露出の多い服装が流行するという話を聞く。
 私は経済学や社会学の専門でも、服飾の専門でもないのでその実情を知るところではないし検証のしようもないのだが、景気が悪くなると布の面積が減ると言われてどこか違和感を持ちながらも納得してしまうのはなぜだろうか。
 毎年、その年の世相を反映するかのように流行のファッションが発表される。
 洋服屋へゆくと、店員から今年はこの柄が流行で、この形がトレンドでという話をしていただくが、私は行きつけのお店で、似たような色や柄の、同じような形の洋服を選んでいる。
 私はファッションには程々にこだわる人間だが、やはり好みのブランドというものがあり、いつもその店へ行っては、
 「私、この柄がすごく好きで」
 と、ヒラヒラとしたスカートの裾を撫でながら店員に話す。
 私の左手に持っているハンドバッグの持ち手にはそのスカートと同じ柄のスカーフが巻かれている。
 つまるところ、私はそのブランドのその柄が非常に好きなので、世間の流行や他所様の服装には驚くほど関心を持たないのである。
 そういうことで普段は、
 「今年のトレンド!」
 「これが流行る!」
 といった文言には一切惹かれないのだが、今回ばかりは疑問を持ってしまった。