狂った隣人たち

祐次はまた自分の家にいた。


こんどはリビングに立っていて、あの家族の団欒の様子がそこにはあった。


でも、その光景には違和感があった。


低いテーブルの上には幼児用の教科書が開かれていたが、家族の中にそれほど小さな子供の姿は見えなかったのだ。


上の子は祐次と同じ高校生くらいに見えるし、下の子も中学生くらいに見える。


どこを探して見ても、幼稚園や保育園の幼児の姿はなかった。


しばらく家族の様子を見つめていると、父親が高校生の子へ向けて幼児本を指し示しているのがわかった。


「これがなにかわかるか?」


「犬! 犬!」


「こっちは?」


「猫!」


状態をゆらゆらと揺らしながら返事をする。


その様子を見て自分たちとは違うと祐次は直感した。


「じゃあ今度は、やってはいけないこととを見て行こうか」


母親が隣から教科書のページをめくると、お店からなにかを盗んで逃げている子供のイラストが出てきた。


その下にはひらがなで「まんびきはだめ」と、書かれている。


「お店におかれている商品を勝手に持って出たらダメ。わかるか?」


「うん、わかる!」


快活な返事が聞こえてきたのだった。