狂った隣人たち

☆☆☆

祐次はなにも言えなかった。


30分間もベランダから落下を繰り返していた母親を見て、通報もなにもしなかった近隣住民。


どうして早く止めてくれなかったんだ。


どうして早く救急車を呼んでくれなかったんだ。


本当ならそうやってののしってもよかったくらいだ。


でも、できなかった。


思えばここへ引っ越してきてから近所の目は冷たかった。


借家だからといって挨拶をサボったりはしないうちの両親。


しかし、そのあいさつ回りでもろくに視線を合わせてくれない人たちばかりだった。


あの時からおかしいとは感じていたんだ。


「この家になにがあるんだ……」


疲れ果てた祐次はベッドに寝そべり、目を閉じた。


本当は母親の病院に付き添ってやりたかったけれど、今は少しでもいいから家族から離れて考えたかった。


そうすればなにかがわかるかもしれないから。


そう思ったのに、目を閉じた祐次は自分でも気がつかないうちに強い眠りに引き込まれていたのだった。