狂った隣人たち

あの時声をかけなければ祐次の痛みや苦しみを知ることもなかっただろう。


「家族がバラバラになるのは、少しつらいかな」


ようやく帰宅準備ができた祐次が席から立ち上がる。


「そうだよね……。それなら無理をしなくていいと思う。つらくなったらいつでもうちにおいでよ」


大神家の人間を家に入れるのは怖いけれど、祐次は大丈夫だ。


きっとくるみの両親もわかってくれる。


「ありがとう」


祐次は弱弱しい笑顔を浮かべて、くるみと共に教室を出たのだった。