「振り込みはちゃんとできてると思う」

「うん、確認した」

「賢也はどうしても離婚はいやなの?それって、会社での体裁のため?」

「え?」私の言った事が理解出来ないような表情をする。

「体裁とかそんなことを考えて居ないよ。こんなことをしておいて勝手だとおもうけどオレは有佳が好きなんだ。だからずっと一緒にいたい。慰謝料は払う。だから離婚だけは考え直して欲しい」

「本当に勝手だね、結局賢也しか得しない話だよね?私のことを好きだとか言ってるけど、それならどうして不倫なんてしていたの」

「本当にごめん」

「もうこの話はいいわ、不毛だもの。離婚はしないということだと、浮気をされたのは私なのに賢也に有利なことだらけ」

「だから、慰謝料をはらう」

「慰謝料はいらない、その代わり私の提示する条件をのんでくれるのなら離婚は考えます」

離婚をしない場合の誓約書を賢也の目の前においた。

「慰謝料の200万円の支払い免除と離婚をしない代わりに、今後一切私に触れないこと」

「え?」

賢也の前にもう一枚の紙を広げる。

「診断書?」

「私の体調不良は妊娠とかじゃなくて、賢也のせい。PTSDなの。賢也に触られると吐き気がとまらなくなるのそれで消化器に言っても特に原因がわからず、心療内科でこの病気がわかったの。あなたが他の人を抱いたその手で触られることに猛烈に嫌悪感があるの、それで吐き気がするようになったの、だからこれは守ってもらいます」

下を向いて苦痛の表情をしていた賢也が「わかりました」と言葉を絞り出した。

「でも、セックスが好きな賢也はこまるでしょうから、恋愛など異性との付合いはお互い自由とします。それならいいでしょ?他の人と子供を作っても認知してもかまいません」

何も言えない賢也は拳をキツく握りしめながら

「了承します」と、ぼそっと答えた。

「では誓約書にサインをしてください。」