何かを考えなくてはいけないのに、目の前の光景が信じられなくて気がついたら家を飛び出していた。

「なおっ」

海智さんが呼ぶ声が聞こえたような気がするが、雨音でかき消された。もしかすると、雨音の中に幻聴を聞いたのかもしれない。

「寒い」

大粒の雨に打たれてようやく靄のかかった脳が動き始めたが、今度は1月の冷たい雨に身体中が痺れうまく体を動かすことができなくなった。

義母と夫

裸足のままの足はもう感覚も無くなっている。


夫は継母と10年以上も関係を持っている


何それ



私はなんのために結婚したの


強い雨は靄をつくり、その靄から明るいライトが現れると同時にクラクションとブレーキの音が響き渡った。



強い衝撃を受け体が浮き上がったがすぐに何かに叩きつけられた。


痛い


痛い


全身に降り注ぐ雨と悲鳴をあげる身体


痛い

痛い



身体中が痛い





でも、それよりも

心が痛い



永遠


永遠



助けて



憎い






あの二人を許さない