「この花、一本だけ摘んでいきましょうか」
『ああ』
「オスニエル様と相談したほうがいいわね。戻りましょう」
ドルフはフィオナを乗せて走り出す。
「ねぇ、ドルフ。リーフェがいないわ」
フィオナがふとうしろを向くとリーフェの姿がなかったため、ドルフはすぐに湖に戻った。すると、リーフェはひょこりと顔を出す。
『どうした。お前も来い』
『鳥の聖獣……怖くない?』
「怖くないわよ。だからついてこなかったの? 私もお友達なのよ。紹介してあげる」
フィオナが微笑むと、リーフェはようやくおずおずと前に出てくる。
『なら……いこうかな。鳥、苦手なんだよね。つついてくるし』
「ホワイティは優しい子だから大丈夫よ」
『俺はホワイティより上位だ。俺が言うことには逆らわないから心配するな』
フィオナとドルフに太鼓判を押され、リーフェはようやく安心したようについてきた。
「リーフェって、もしかしてまだ子供なのかしら」
『でもあの大きさなら、二十年は生きているだろ。親は育て方を間違えたんじゃないか?』
この状態の聖獣を置いて死ぬのは、どれほど心配だっただろう。などと想像してしまい、フィオナは苦笑した。



