「……頼むから勝手に暴走はするなよ。お前は俺の妻であり子供たちの母親だ」
「そんなこと分かっています」
「分かってない!」
オスニエルが声を荒げるので、フィオナは驚いてしまう。なにか怒らせることを言ったのだろうか。
「お前は本当に分かってない。俺にとっても、子供たちにとっても替えが聞かない存在なんだ。俺は、父上がもし本当にフィオナを側妃に戻せと言うなら、王位継承権を返上してもいいと思っている」
「なにを言っているんですか。駄目よ。あなたは今まで国のためを思って戦いを続けてきたし、今だって、国のためを思って……」
がしっと肩を掴まれる。
「そうだ。国のためと、自分のためを思って見つけた最高の妻がお前だ。父上がお前の価値に気づかないならば、こちらから捨ててやる」
「……オスニエル様」
「俺についてくる人間もいくらかはいる。そこから立て直すことだって……」
「そんなことをしたら、謀反と取られます。そうならないように考えましょう。私も力を尽くしますから」
オスニエルを知れば知るほど、王太子としての生きてきた人なのだと感じることが多かった。彼は、その血の確かさにより、王太子として盤石の地位を得ていた。逆に言えば、逃れることも許されなかったのだ。
数多く寄せられた縁談をはねつけるのが、彼ができた唯一の反抗ともいえるだろう。
なのに、王位継承権を失ってしまったら、彼の自尊心も矜持もボロボロになってしまう。
「……お前を正妃にと望み、子供たちを得てから、俺は国の繁栄と同じくらい、お前たちとの幸せが大切なものになった」
オスニエルの腕が、フィオナを抱きしめる。「失いたくないのだ」とささやくような声がした。
それはめったに見せることのない、オスニエルの弱気な部分だ。
「私がそんな簡単にやられるように見えますか?」
だからフィオナは、強気に微笑んで見せる。
「これでも私、数々の修羅場を潜り抜けてきていますの。そう簡単に落ち込むことも、立ち止まることもありません。絶対に、あなたも子供たちも幸せにしてあげますとも」
「フィオナ……」
『こういうところが、こいつの怖いところだ』
ぼそりとつぶやいたドルフは、俺も忘れるなとばかりに、体を摺り寄せてきた。
「もちろん。ドルフは私と一緒に戦ってくれるのでしょう? 頼りにしてるわよ」
フィオナの返事に、ドルフは満足気に頷いた。
「そんなこと分かっています」
「分かってない!」
オスニエルが声を荒げるので、フィオナは驚いてしまう。なにか怒らせることを言ったのだろうか。
「お前は本当に分かってない。俺にとっても、子供たちにとっても替えが聞かない存在なんだ。俺は、父上がもし本当にフィオナを側妃に戻せと言うなら、王位継承権を返上してもいいと思っている」
「なにを言っているんですか。駄目よ。あなたは今まで国のためを思って戦いを続けてきたし、今だって、国のためを思って……」
がしっと肩を掴まれる。
「そうだ。国のためと、自分のためを思って見つけた最高の妻がお前だ。父上がお前の価値に気づかないならば、こちらから捨ててやる」
「……オスニエル様」
「俺についてくる人間もいくらかはいる。そこから立て直すことだって……」
「そんなことをしたら、謀反と取られます。そうならないように考えましょう。私も力を尽くしますから」
オスニエルを知れば知るほど、王太子としての生きてきた人なのだと感じることが多かった。彼は、その血の確かさにより、王太子として盤石の地位を得ていた。逆に言えば、逃れることも許されなかったのだ。
数多く寄せられた縁談をはねつけるのが、彼ができた唯一の反抗ともいえるだろう。
なのに、王位継承権を失ってしまったら、彼の自尊心も矜持もボロボロになってしまう。
「……お前を正妃にと望み、子供たちを得てから、俺は国の繁栄と同じくらい、お前たちとの幸せが大切なものになった」
オスニエルの腕が、フィオナを抱きしめる。「失いたくないのだ」とささやくような声がした。
それはめったに見せることのない、オスニエルの弱気な部分だ。
「私がそんな簡単にやられるように見えますか?」
だからフィオナは、強気に微笑んで見せる。
「これでも私、数々の修羅場を潜り抜けてきていますの。そう簡単に落ち込むことも、立ち止まることもありません。絶対に、あなたも子供たちも幸せにしてあげますとも」
「フィオナ……」
『こういうところが、こいつの怖いところだ』
ぼそりとつぶやいたドルフは、俺も忘れるなとばかりに、体を摺り寄せてきた。
「もちろん。ドルフは私と一緒に戦ってくれるのでしょう? 頼りにしてるわよ」
フィオナの返事に、ドルフは満足気に頷いた。



