* * *
その夜は、後宮で作戦会議である。
双子はすでに寝ていて、部屋にいるのはオスニエルとドルフとフィオナだ。
「あの香水に、なにかあるわ」
『そうだな。それは間違いない』
「だがあれは、ロイヤルベリー公爵家の事業として、やっているものだぞ?」
オスニエルは、公爵家滞在中に、その製造工程も見ている。原材料は領土内でとれる花や葉、木材などで、アルコールや油などにも、特別おかしなものはなかった。
『自然に存在する草花には、毒素が存在するものがたくさんあるぞ』
「綺麗に見えても毒があると言います。まずはあの香水の元となる精油が、どの花から作られたかを探ることが必要ですね」
その手の内容を聞きだすには、女性同士の方が有利だ。
「私がやります」
フィオナが言うと、オスニエルは「危ないぞ」と首を振る。
「私にはドルフがついているから大丈夫です。できるだけ後宮の近くでお話するようにしますわ」
「だが、いつ父上が時を戻す前のようなことを言うか分からん。悔しいが、王城では俺よりも父の方が上位だ。父が命令すれば、ここはお前にとって一気に敵陣に変わる」
「それは……」
たしかに恐怖だ。けれど、だからと言ってここで引きこもっていても結果は同じだろう。
フィオナの居場所は、子供たちとオスニエルがいるこの国だ。ここが大切ならば、守られるだけで引きこもっていてはいけないのだ。
『思ったのだが、あの香水への対抗策を作っておけばいいのではないか? ホワイティなら薬が専門だ。あの状況を見ていたのだし、頼めばなにか作れるんじゃないか?』
「そうね。エリオットにお願いしてみるわ。あの子が城を出る前で本当によかった」
その夜は、後宮で作戦会議である。
双子はすでに寝ていて、部屋にいるのはオスニエルとドルフとフィオナだ。
「あの香水に、なにかあるわ」
『そうだな。それは間違いない』
「だがあれは、ロイヤルベリー公爵家の事業として、やっているものだぞ?」
オスニエルは、公爵家滞在中に、その製造工程も見ている。原材料は領土内でとれる花や葉、木材などで、アルコールや油などにも、特別おかしなものはなかった。
『自然に存在する草花には、毒素が存在するものがたくさんあるぞ』
「綺麗に見えても毒があると言います。まずはあの香水の元となる精油が、どの花から作られたかを探ることが必要ですね」
その手の内容を聞きだすには、女性同士の方が有利だ。
「私がやります」
フィオナが言うと、オスニエルは「危ないぞ」と首を振る。
「私にはドルフがついているから大丈夫です。できるだけ後宮の近くでお話するようにしますわ」
「だが、いつ父上が時を戻す前のようなことを言うか分からん。悔しいが、王城では俺よりも父の方が上位だ。父が命令すれば、ここはお前にとって一気に敵陣に変わる」
「それは……」
たしかに恐怖だ。けれど、だからと言ってここで引きこもっていても結果は同じだろう。
フィオナの居場所は、子供たちとオスニエルがいるこの国だ。ここが大切ならば、守られるだけで引きこもっていてはいけないのだ。
『思ったのだが、あの香水への対抗策を作っておけばいいのではないか? ホワイティなら薬が専門だ。あの状況を見ていたのだし、頼めばなにか作れるんじゃないか?』
「そうね。エリオットにお願いしてみるわ。あの子が城を出る前で本当によかった」



