『とにかくお前たちは戻れ』
「ええ。後で話しましょう」
ホワイティとドルフをバルコニーに残し、オスニエル、エリオット、フィオナの三人は、そろって中に戻る。香水の匂いはずいぶん飛んでいて、呼吸も楽にできた。
「皆さん、よろしくお願いいたします」
ちょうど、ジャネットが挨拶を終えたところだ。フィオナとオスニエルを見つけたのか、不思議そうにこちらを見る。彼女の記憶では、先ほどまで王族の席に並んでいたのだから、疑問に思って当然ではある。
やがて楽団による音楽が鳴りだし、室内は自由な交流が始まった。
「私、彼女と話してくるわ」
「大丈夫か?」
「ホストとして当然の役目をするだけよ」
フィオナは早足でジャネットのもとに近寄る。周囲には伯爵以上の貴族令嬢もいて、フィオナを見るとぎこちなく笑みを浮かべた。
「ジャネット様、今宵は楽しんでくださいね」
「フィオナ様、……ありがとうございます」
にこやかな会話が始まると、それを見ていた貴族令嬢たちも倣って笑顔になる。
先ほどとは違い、どの人間も体面を保つことを忘れてはいないようだ。
(とりあえず、今度は大丈夫そうね)
香水の香りが飛んだ室内は、暴走するほど苛立つ者もおらず、夜会は三時間ほどで、円満に幕を閉じたのだった。
「ええ。後で話しましょう」
ホワイティとドルフをバルコニーに残し、オスニエル、エリオット、フィオナの三人は、そろって中に戻る。香水の匂いはずいぶん飛んでいて、呼吸も楽にできた。
「皆さん、よろしくお願いいたします」
ちょうど、ジャネットが挨拶を終えたところだ。フィオナとオスニエルを見つけたのか、不思議そうにこちらを見る。彼女の記憶では、先ほどまで王族の席に並んでいたのだから、疑問に思って当然ではある。
やがて楽団による音楽が鳴りだし、室内は自由な交流が始まった。
「私、彼女と話してくるわ」
「大丈夫か?」
「ホストとして当然の役目をするだけよ」
フィオナは早足でジャネットのもとに近寄る。周囲には伯爵以上の貴族令嬢もいて、フィオナを見るとぎこちなく笑みを浮かべた。
「ジャネット様、今宵は楽しんでくださいね」
「フィオナ様、……ありがとうございます」
にこやかな会話が始まると、それを見ていた貴族令嬢たちも倣って笑顔になる。
先ほどとは違い、どの人間も体面を保つことを忘れてはいないようだ。
(とりあえず、今度は大丈夫そうね)
香水の香りが飛んだ室内は、暴走するほど苛立つ者もおらず、夜会は三時間ほどで、円満に幕を閉じたのだった。



