オスニエルがフィオナの部屋を訪れた時には、三人そろってぐっすり眠っていた。
「ドルフ、なんだこの状況は」
『もう少し早くこればよかったな、オスニエル。お前も仲間にはいれたのに』
馬鹿にしたような口調に、オスニエルは鼻白む。
「ところで、お前の相棒は最近見ないけれどどうした」
『リーフェのことか? 別に俺の相棒なわけじゃない。あっちが勝手に引っ付いてくるんだ』
「もてる男の発言だな。まあいい。リーフェはどうした」
『あいつは気の向くままに生きているからよくわからんが、ルーデンブルグの湖に戻ると言っていたぞ。なにか気になることがあるらしい』
「気になること?」
『匂いがどうこう言っていたが、ちゃんとした説明もしていかなかったから、よくわからん。勝手な奴だ』
「それをお前が言うのか」
オスニエルは馬鹿にしたように笑ったが、「お前こそ、自分の足もとを見たほうがいいぞ」と忠告される。
「どういう意味だ?」
「フィオナにだって情報源がないわけじゃないんだ。隠していたって伝わるってことだよ、どこぞの令嬢のことは」
「……アリンガム侯爵家でか?」
オスニエルはジャネットについて、フィオナになにも伝えていない。かつて縁談があった間柄なことも、今未亡人であることも、彼女がなぜ、王都に来たのかも。
「誤解されているのか?」
『さあ。俺に教える義理は無いな。今日はベッドも満員だから出て行け』
ドルフに追い出され、すぐに寝る気にもなれなかったオスニエルは、再び城の執務室へと戻った。するとまだロジャーがいて、書類をまとめている。
「あれ、どうされました?」
「お前こそ、まだいたのか」
そんなだから独身なのだ、とは思ったけれど言わなかった。ロジャーはオスニエルのせいで忙しいというが、そもそも頼んでいないことまで調べたり段取りを整えたりするのだから、ロジャー自身がワーカーホリックなのだ。
「ジャネットの夫について、調べてもらえるか?」
「お亡くなりになられたユーイン・ブレストン伯爵子息ですか?」
「ああ。死亡した経緯や、参加した戦争とかだな」
「……ジャネット様になにか言われたのですか?」
「いや。だが、ジャネットがなにを考えているのかを探るヒントにはなるかと思ってな」
「……フィオナ様と喧嘩でもしたんですか?」
うっかり聞いたら、オスニエルに睨まれ、ロジャーは肩をすくめた。
最近は余計な一言が多い。オスニエルが話しやすくなったがための、意外な弊害である。
「ドルフ、なんだこの状況は」
『もう少し早くこればよかったな、オスニエル。お前も仲間にはいれたのに』
馬鹿にしたような口調に、オスニエルは鼻白む。
「ところで、お前の相棒は最近見ないけれどどうした」
『リーフェのことか? 別に俺の相棒なわけじゃない。あっちが勝手に引っ付いてくるんだ』
「もてる男の発言だな。まあいい。リーフェはどうした」
『あいつは気の向くままに生きているからよくわからんが、ルーデンブルグの湖に戻ると言っていたぞ。なにか気になることがあるらしい』
「気になること?」
『匂いがどうこう言っていたが、ちゃんとした説明もしていかなかったから、よくわからん。勝手な奴だ』
「それをお前が言うのか」
オスニエルは馬鹿にしたように笑ったが、「お前こそ、自分の足もとを見たほうがいいぞ」と忠告される。
「どういう意味だ?」
「フィオナにだって情報源がないわけじゃないんだ。隠していたって伝わるってことだよ、どこぞの令嬢のことは」
「……アリンガム侯爵家でか?」
オスニエルはジャネットについて、フィオナになにも伝えていない。かつて縁談があった間柄なことも、今未亡人であることも、彼女がなぜ、王都に来たのかも。
「誤解されているのか?」
『さあ。俺に教える義理は無いな。今日はベッドも満員だから出て行け』
ドルフに追い出され、すぐに寝る気にもなれなかったオスニエルは、再び城の執務室へと戻った。するとまだロジャーがいて、書類をまとめている。
「あれ、どうされました?」
「お前こそ、まだいたのか」
そんなだから独身なのだ、とは思ったけれど言わなかった。ロジャーはオスニエルのせいで忙しいというが、そもそも頼んでいないことまで調べたり段取りを整えたりするのだから、ロジャー自身がワーカーホリックなのだ。
「ジャネットの夫について、調べてもらえるか?」
「お亡くなりになられたユーイン・ブレストン伯爵子息ですか?」
「ああ。死亡した経緯や、参加した戦争とかだな」
「……ジャネット様になにか言われたのですか?」
「いや。だが、ジャネットがなにを考えているのかを探るヒントにはなるかと思ってな」
「……フィオナ様と喧嘩でもしたんですか?」
うっかり聞いたら、オスニエルに睨まれ、ロジャーは肩をすくめた。
最近は余計な一言が多い。オスニエルが話しやすくなったがための、意外な弊害である。



