8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~2

  *  *  *

 その夜、フィオナはオスニエルと話をしようと、待っていた。しかしこんな日に限って、妙にアイラがぐずっている。

「やだやだ。かーたまとねる」
「どうしたの、アイラ」
「だって、こわいもん!」

 いつもなら、ポリーが宥めればすぐに落ち着くのに、フィオナの腰にしがみついて離れない。

「最近、城内では小さないざこざが多いと聞きますが、アイラ様はそういったものを感じ取られているのでしょうか」

 ポリーが頬に手を当てて困っている。

「そうなの?」
「ええ。ちょっとしたミスで叱責されることが多いらしく、おかげで侍女同士も少しギスギスしています」
「アイラ、誰かに嫌なことをされたの?」

 優しく尋ねても、アイラは首をぶんぶん振るだけだ。
 アイラはローランドに、オリバーはエリオットに懐いているので、子供たちは侍女を伴って彼らに会いに城に行くこともある。その時に、なにかを目撃したのかもしれない。

「仕方ないわ。子供たちふたりとも、ここで寝かせるから、ポリーは下がっていいわよ」
「ですが……」
「大丈夫。ポリーもゆっくり休んで」

 恐縮するポリーを下がらせて、フィオナはアイラを抱いたままベッドへ向かう。服の裾を握りしめながらちょこちょことついてくるのはオリバーだ。

「ふたりとも、おいで」