「ステイシー様は王太子妃にはなりたくなかったの?」
「そうですね。オスニエル様は恐ろしいというのが本音ですわ。というか、私、ロニーの妻になりたかったのです。ロニーとは幼馴染みで、小さな子供の頃から結婚の約束をしていたのですよ」
ロニーとはステイシーの夫であるアリンガム侯爵子息だ。
「そうなんですね」
幼馴染みと幼少期から愛を育んで実らせるなんて、とても素敵だ。この貴族社会の中で、なかなか実現できることではなく、フィオナは恋に憧れていた昔を思い出して、頬を染める。
「憧れるわ。ステイシー様とロニー様にそんな素敵な恋物語があったなんて」
褒められるとステイシーもまんざらでもなさそうだ。先ほどよりは落ち着いたトーンになり、「そう思っていただけます?」と微笑んだ。
「ええ。昔から恋焦がれた人と結ばれるなんて、理想じゃありませんか。私も幼いときは、そんな恋に憧れたものですわ。ステイシー様が羨ましいです」
フィオナがそう言うと、ステイシーはますます気をよくしたようだ。
「フィオナ様の初恋のお相手は?」
「そうね。幼馴染みかしら。でも、あれは結局憧れだった気もするわね」
トラヴィスとローランドというふたりの幼馴染みの存在は、恋に憧れたフィオナにとって格好の相手ではあった。けれど、ふたりはけん制しあっていたし、どちらかと言えば兄貴分よろしくフィオナを守ることに執心していた。フィオナも、あまりに過保護な彼らに、いつしか恋愛的な愛情よりも、家族愛のほうが強くなっていたように思う。
「でも……、最初の縁談だったということは、ジャネット様はオスニエル様と釣り合う年齢ということですね?」
「ええ。オスニエル様の三つ下になるのかしら。破談になった後に、一度ご結婚されているのよ。領内の格下の伯爵家だったかしらね。社交界では噂になったものです。でもその旦那様は五年前に戦争でお亡くなりになって。それで公爵家に戻っていると聞いたわ」
「まあ」
夫を亡くされているのか……と思うと、なんだか気の毒になってくる。
「そうですね。オスニエル様は恐ろしいというのが本音ですわ。というか、私、ロニーの妻になりたかったのです。ロニーとは幼馴染みで、小さな子供の頃から結婚の約束をしていたのですよ」
ロニーとはステイシーの夫であるアリンガム侯爵子息だ。
「そうなんですね」
幼馴染みと幼少期から愛を育んで実らせるなんて、とても素敵だ。この貴族社会の中で、なかなか実現できることではなく、フィオナは恋に憧れていた昔を思い出して、頬を染める。
「憧れるわ。ステイシー様とロニー様にそんな素敵な恋物語があったなんて」
褒められるとステイシーもまんざらでもなさそうだ。先ほどよりは落ち着いたトーンになり、「そう思っていただけます?」と微笑んだ。
「ええ。昔から恋焦がれた人と結ばれるなんて、理想じゃありませんか。私も幼いときは、そんな恋に憧れたものですわ。ステイシー様が羨ましいです」
フィオナがそう言うと、ステイシーはますます気をよくしたようだ。
「フィオナ様の初恋のお相手は?」
「そうね。幼馴染みかしら。でも、あれは結局憧れだった気もするわね」
トラヴィスとローランドというふたりの幼馴染みの存在は、恋に憧れたフィオナにとって格好の相手ではあった。けれど、ふたりはけん制しあっていたし、どちらかと言えば兄貴分よろしくフィオナを守ることに執心していた。フィオナも、あまりに過保護な彼らに、いつしか恋愛的な愛情よりも、家族愛のほうが強くなっていたように思う。
「でも……、最初の縁談だったということは、ジャネット様はオスニエル様と釣り合う年齢ということですね?」
「ええ。オスニエル様の三つ下になるのかしら。破談になった後に、一度ご結婚されているのよ。領内の格下の伯爵家だったかしらね。社交界では噂になったものです。でもその旦那様は五年前に戦争でお亡くなりになって。それで公爵家に戻っていると聞いたわ」
「まあ」
夫を亡くされているのか……と思うと、なんだか気の毒になってくる。



