* * *
ジャネットは、エリオットたちと同じように、客用の一室を与えられ、その日から精力的に動き始めた。
国王が目をかけていることもあり、有力貴族たちがこぞって娘たちにジャネットと交流させようと画策したため、ジャネットは連日、高位貴族の令嬢が主催するお茶会に呼ばれて出歩いている。
「まあ、いい香り。ジャネット様、こちらの香りは、どうやって作られますの?」
「植物から、精油を取るんですの。蒸留法というやり方がありまして。ロイヤルベリー公爵領内で作られた花や樹木から精油をとるのです。それを香水や香油として加工しますの」
今日、ジャネットがサンプルとして持ってきたのは、百合をベースとして、いくつかの精油をブレンドしたものだ。
簡単に言うと、香水は精油をアルコールで割ったのもので、香油は油で割ったものだ。香水のほうが、揮発性が高く、より短期間で香りを拡散することができる。対して香油は持続性が高い。
この国の女性は、夜会では香水、寝室では香油を使うのが主流だ。
「香水というところがいいですわね。紐編みと違って、なんだかとても高貴ですわ」
ひとりの令嬢が、扇で口元を隠しながら言った。あきらかに、紐編みを揶揄するような発言だ。
「オスニエル様の正妃のフィオナ様は、紐編みのアクセサリーを流行らせたのでしたわね。ロイヤルベリー公爵領は田舎ですので、まだ見たことがありませんの。きっと素敵なのでしょうね」
「ジャネット様のような、大人の女性には子供っぽく見えるかもしれませんわ」
ジャネットは静かに観察する。
城に来て数日たつが、まだ、フィオナ妃とは顔を合わせていない。
双子を出産して以降、あまり体調のよくない彼女は、社交活動は控えめにしているのだとオスニエルは言っていた。
国主催の大きな夜会などには出席しているが、自分から茶会などは開いていないようだ。
ジャネットは、エリオットたちと同じように、客用の一室を与えられ、その日から精力的に動き始めた。
国王が目をかけていることもあり、有力貴族たちがこぞって娘たちにジャネットと交流させようと画策したため、ジャネットは連日、高位貴族の令嬢が主催するお茶会に呼ばれて出歩いている。
「まあ、いい香り。ジャネット様、こちらの香りは、どうやって作られますの?」
「植物から、精油を取るんですの。蒸留法というやり方がありまして。ロイヤルベリー公爵領内で作られた花や樹木から精油をとるのです。それを香水や香油として加工しますの」
今日、ジャネットがサンプルとして持ってきたのは、百合をベースとして、いくつかの精油をブレンドしたものだ。
簡単に言うと、香水は精油をアルコールで割ったのもので、香油は油で割ったものだ。香水のほうが、揮発性が高く、より短期間で香りを拡散することができる。対して香油は持続性が高い。
この国の女性は、夜会では香水、寝室では香油を使うのが主流だ。
「香水というところがいいですわね。紐編みと違って、なんだかとても高貴ですわ」
ひとりの令嬢が、扇で口元を隠しながら言った。あきらかに、紐編みを揶揄するような発言だ。
「オスニエル様の正妃のフィオナ様は、紐編みのアクセサリーを流行らせたのでしたわね。ロイヤルベリー公爵領は田舎ですので、まだ見たことがありませんの。きっと素敵なのでしょうね」
「ジャネット様のような、大人の女性には子供っぽく見えるかもしれませんわ」
ジャネットは静かに観察する。
城に来て数日たつが、まだ、フィオナ妃とは顔を合わせていない。
双子を出産して以降、あまり体調のよくない彼女は、社交活動は控えめにしているのだとオスニエルは言っていた。
国主催の大きな夜会などには出席しているが、自分から茶会などは開いていないようだ。



