8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~2

 その日はエリオットを歓迎し、フィオナと子供たちは、彼らとともに夕食を取った。

「おじたま?」
「おー?」

 双子はエリオットに手を差し出され、不思議そうな顔をする。オリバーは警戒心をあらわにしているが、アイラの方は、うしろで微笑みをたたえるローランドを見て、一目で気に入ったようだ。

「おーじさま」
「違うわよ、アイラ。王子様はエリオットの方。ローランドは騎士」
「ろーらんど……」

 名前もしっかり覚え、両手をピシッと伸ばす。

「ろーらんど、抱っこ」
「アイラ!」
「いいのですよ、フィオナ様。光栄です、姫君」

 ローランドは、整った優しげな顔にさらにとろけるような笑みを乗せ、腕にアイラを抱き上げる。

「きゃー」

 大喜びするアイラは、小さくても乙女だ。キラキラした王子様のような風貌のローランドが気に入るところを見れば、正統派な好みをしているのだろう。

「かわいらしいですね。フィオナ様の子供の頃のようです」
「その時はあなたも子供だったじゃないの」
「でも覚えていますよ。俺に抱っこをねだったときもありました」

 そんなこと、フィオナは覚えていない。過去を知る人間と話すのは楽しいけれど、余計な思い出話は勘弁してほしい。

「あー」

 抱っこされるアイラがうらやましくなったのか、オリバーが手を伸ばしているのに気づいて、フィオナは腕に抱き上げる。
 その日の夕食はなごやかに進み、フィオナも、久しぶりの故郷の話を楽しんだ。