8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~2


「しかし、香水や香油を感情に働きかけ、効果を得るという点は、非常に興味深い。俺は、今後のことも考え、研究チームを組めばいいと思っているんだ」
「え?」
「今回はマイナスの効果が出たために、こんなことになったが、プラスの方向に向けることもできるだろう? フィオナも新しい商売のアイデアを欲しがっていたし、共同でなにかしてみたらどうだ?」
「……許していただけるのですか?」

 あまりに信じられず、ジャネットの声は震えた。

「フィオナの意向だ。断じるほどひどい被害が出たわけじゃない。もとを断つため回収はさせてもらうが、まだ市場にも出ていないし問題はないだろう。ただひとつ、頼みはあるのだが」
「わかっています。縁談の話ですね。今回はこちらからお断りさせていただきます」
「悪いな。俺が言っても父上が聞く耳を持たない」
「国王様に、私からもお伝えします。オリバー様は幼いながら聡明なお子様ですし、フィオナ様は寛大な素晴らしいお方だと」
「それは俺もそう思う」
「まあ。……オスニエル様からそんなのろけが聞けるとは思いませんでした」

 ジャネットが笑うと、オスニエルもふっと相好を崩した。こんな風に笑うオスニエルを見るのは、初めてのような気がする。

(私は、結局誰のこともきちんと理解できていなかったんだわ)

 心の氷が解けていくような気持ちだ。再会して以来、初めてふたりの間に和やかな空気が漂った。