8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~2

 例えば、ドルフに頼めば、ジャネットの時を戻してあげられるのだろうか。
 だけどそうなればフィオナの未来も変わる。自分の幸せと彼女の幸せを天秤にかけたとき、フィオナにはどうしても選べなかった。
 今の生活を愛している。オスニエルがいて、ふたりの子供たちがいるこの生活を、失ったらきっと生きていけない。

「ううん。私もごめんなさい」

 彼女を幸せにできる方法がわかっていてなお、フィオナには選べない。そこまでいい人にはなれない。

「どうして謝るの?」
「……あなたの後悔を晴らせてあげられないから」

 ジャネットには、なんのことだかわからないだろう。それでも謝らずにはいられなかった。
 フィオナとジャネットの違いはただ一点。ドルフの加護がなかったことだけ。

「……あなたが謝る必要はないわ」

 ジャネットは凛としていた。

「全部、私が悪かったのだもの。あの人を死なせて、不幸にしてしまった」

 だがその声は潤んでいた。フィオナもなぜだか一緒に泣きたくなってしまう。

「ジャネット様」

 すん、とフィオナが鼻をすすると、ジャネットもつられたように泣き出した。一緒に涙を流していると、不思議と同志になったような気がしてしまう。

「あの、あのね」

 アイラが、おずおずとジャネットの服の裾をつかんだ。

「あの人。ちがうって、いってる」

 アイラは必死に訴えた。

「……ユーイン様が?」

 ジャネットは驚いたようにアイラを見つめる。

「あの人はなんて言っているの?」
「えと。しんぱい、してるの、その、えっと、」

 まだ幼いアイラは、ユーインが言っていることが、理解できないのかもしれない。

「ドルフ、ジャネット様がユーイン様の言葉を聞こえるようにはできないのかしら」
『うーん。俺の能力とは違うからな。リーフェに頼ったほうがいいだろうな。呼ぶか?』
「お願い」

 ドルフは時を止め、後宮にリーフェを呼びに行った。
 再び時を動かすと、ジャネットは突然白い犬が表れていたので、びっくりしたようだった。

「ジャネット様、ブライト王国の王族には、不思議な力があること知っていますか?」
「エリオット様が言っていたわ。聖獣の加護があると」
「ええ。ですから、しばらく目をつぶっていてくださいますか? 次に目が開けたときに、見えるのは一瞬の夢です」