8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~2

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「……そして、彼の後を追おうと思っていたの」

 ジャネットの肩が力なく落ちる。
 フィオナはそっと、彼女の手を握った。男性に振り回され、不幸な生涯を送るその姿は、かつてループする前の自分にもよく似ている。

「あなたが、不幸に感じるのはわかるわ。でも、だからと言って周囲の人の感情を操るのは間違っていると思う」
「フィオナ様」
「あなたのしたことは間違いよ」

 断言するフィオナを、ジャネットは茫然と見つめる。
 兄は、ジャネットの不幸に同情していた。今回のこともうすうす気づいていつつ、なにも言わなかったのはそのせいだろう。だが……。

「……知っているわ」

 自分のしていることは逆恨みだ。ユーインを殺したのは、オスニエルではなく自分の作った香油が原因なのだ。だけど悔しくて悲しくてどうしようもなくて。

「あの人に、どう謝ればいいのかわからない。だから、罰されたかった」

 オスニエルなら、気に入らなければ公爵令嬢であろうと斬るだろうと思えた。他の誰が自分を罰せなくとも、オスニエルならば、自分に引導を渡してくれるだろうと。

 なのに、久しぶりに会ったオスニエルは、感じが変わっていた。
 公爵領での仕事もまじめにこなし、夜は夜会などがなければ部屋にこもる。そして妻に会いたいからと仕事も早く片付けようとするのだ。

 彼をこんな風に変えた妻は、おそらく良妻だろう。だとしたら、ユーインを殺した自分は悪妻だ。

 考えれば考えるほど、ジャネットは追い詰められていった。
 もう、公爵家がどうなろうと、この国がどうなろうと、かまわない。
 自分はユーインに許されない。一生、誰にも許されない。いばらの道を歩むのだと。

「……ごめんなさい、フィオナ様。貴方はなにも悪くないのに。私は、あなたを不幸にしようとしていたの」

 泣き続けるジャネットをフィオナは抱きしめた。
 他人事だとは、どうしても思えなかった。
 もし、人生をやり直せなかったら、フィオナだっていろいろなものを憎んだだろう。
 自分を守ってくれなかった母国、人となりを知ろうともせず自分を罵ったオスニエルやジェマ。実際、フィオナは殺そうとまでは思えなかったけれど、複雑な気持ちはたしかにあった。