* * *
「……そして、彼の後を追おうと思っていたの」
ジャネットの肩が力なく落ちる。
フィオナはそっと、彼女の手を握った。男性に振り回され、不幸な生涯を送るその姿は、かつてループする前の自分にもよく似ている。
「あなたが、不幸に感じるのはわかるわ。でも、だからと言って周囲の人の感情を操るのは間違っていると思う」
「フィオナ様」
「あなたのしたことは間違いよ」
断言するフィオナを、ジャネットは茫然と見つめる。
兄は、ジャネットの不幸に同情していた。今回のこともうすうす気づいていつつ、なにも言わなかったのはそのせいだろう。だが……。
「……知っているわ」
自分のしていることは逆恨みだ。ユーインを殺したのは、オスニエルではなく自分の作った香油が原因なのだ。だけど悔しくて悲しくてどうしようもなくて。
「あの人に、どう謝ればいいのかわからない。だから、罰されたかった」
オスニエルなら、気に入らなければ公爵令嬢であろうと斬るだろうと思えた。他の誰が自分を罰せなくとも、オスニエルならば、自分に引導を渡してくれるだろうと。
なのに、久しぶりに会ったオスニエルは、感じが変わっていた。
公爵領での仕事もまじめにこなし、夜は夜会などがなければ部屋にこもる。そして妻に会いたいからと仕事も早く片付けようとするのだ。
彼をこんな風に変えた妻は、おそらく良妻だろう。だとしたら、ユーインを殺した自分は悪妻だ。
考えれば考えるほど、ジャネットは追い詰められていった。
もう、公爵家がどうなろうと、この国がどうなろうと、かまわない。
自分はユーインに許されない。一生、誰にも許されない。いばらの道を歩むのだと。
「……ごめんなさい、フィオナ様。貴方はなにも悪くないのに。私は、あなたを不幸にしようとしていたの」
泣き続けるジャネットをフィオナは抱きしめた。
他人事だとは、どうしても思えなかった。
もし、人生をやり直せなかったら、フィオナだっていろいろなものを憎んだだろう。
自分を守ってくれなかった母国、人となりを知ろうともせず自分を罵ったオスニエルやジェマ。実際、フィオナは殺そうとまでは思えなかったけれど、複雑な気持ちはたしかにあった。
「……そして、彼の後を追おうと思っていたの」
ジャネットの肩が力なく落ちる。
フィオナはそっと、彼女の手を握った。男性に振り回され、不幸な生涯を送るその姿は、かつてループする前の自分にもよく似ている。
「あなたが、不幸に感じるのはわかるわ。でも、だからと言って周囲の人の感情を操るのは間違っていると思う」
「フィオナ様」
「あなたのしたことは間違いよ」
断言するフィオナを、ジャネットは茫然と見つめる。
兄は、ジャネットの不幸に同情していた。今回のこともうすうす気づいていつつ、なにも言わなかったのはそのせいだろう。だが……。
「……知っているわ」
自分のしていることは逆恨みだ。ユーインを殺したのは、オスニエルではなく自分の作った香油が原因なのだ。だけど悔しくて悲しくてどうしようもなくて。
「あの人に、どう謝ればいいのかわからない。だから、罰されたかった」
オスニエルなら、気に入らなければ公爵令嬢であろうと斬るだろうと思えた。他の誰が自分を罰せなくとも、オスニエルならば、自分に引導を渡してくれるだろうと。
なのに、久しぶりに会ったオスニエルは、感じが変わっていた。
公爵領での仕事もまじめにこなし、夜は夜会などがなければ部屋にこもる。そして妻に会いたいからと仕事も早く片付けようとするのだ。
彼をこんな風に変えた妻は、おそらく良妻だろう。だとしたら、ユーインを殺した自分は悪妻だ。
考えれば考えるほど、ジャネットは追い詰められていった。
もう、公爵家がどうなろうと、この国がどうなろうと、かまわない。
自分はユーインに許されない。一生、誰にも許されない。いばらの道を歩むのだと。
「……ごめんなさい、フィオナ様。貴方はなにも悪くないのに。私は、あなたを不幸にしようとしていたの」
泣き続けるジャネットをフィオナは抱きしめた。
他人事だとは、どうしても思えなかった。
もし、人生をやり直せなかったら、フィオナだっていろいろなものを憎んだだろう。
自分を守ってくれなかった母国、人となりを知ろうともせず自分を罵ったオスニエルやジェマ。実際、フィオナは殺そうとまでは思えなかったけれど、複雑な気持ちはたしかにあった。



