「凛空ちゃん!」

「ん」

「まだここにいたの?」

「うん、由夢見送ったわいいけど俺はいつ生徒会に行けばいいのか完全タイミング逃して」

「ははっ、確かに!」

階段に座ったままだった凛空ちゃんの隣に同じようにもう一度座った。

「渡せた?」

「うんっ、…渡せた」

「よかったね」

「…、ありがとう」

ちょっと頬が熱くなった。

凛空ちゃんには恥ずかしいとこ全部見られてるから。

「いいなぁ~、俺も好きな子からもらいたいな~」

「え、凛空ちゃんそんな子いたの!?」

「まぁ俺も花の男子高校生だし?そりゃそんな相手の1人くらいは」

「え、誰誰!?私の知ってる人?」

初めて聞く凛空ちゃんの話につい身を乗り出してしまった。

だからいつもより距離が近くなっちゃって、じぃっと私の瞳を見つめる凛空ちゃんと交わした視線を逸らせなかった。

くりくりとした凛空ちゃんの瞳に私が写ってるのがハッキリわかる。

凛空ちゃんがそっと人差し指を自分の口元に持っていった。

「知らない人♡」

「他校の子!?凛空ちゃん友達多いもんね!」

誰かは教えてくれなかった。
聞いても知らない子ならわからないけど、ちょっと気になった。私は何でも凛空ちゃんに話してるし。

「そっかー、凛空ちゃんにもそんな人いたんだ~」

「おう、まぁね」

「じゃあいらないかもしれないんだけど」

「?」

交換用のチョコレート、暁先輩へのチョコレート、そしてもうひとつ…用意していた。

「これは私から凛空ちゃんに!いつもお世話になってるから!」

スクールバッグから取り出した。

「………。」

ぽかんと口を開けてラッピングされたチョコレートを見つめる凛空ちゃん。

「凛空ちゃん?やっぱいらなかった!?ごめん、余計だったよねっ」

やっぱりやめようと手に持ったチョコレートをスクールバッグに戻そうと思った。けど、凛空ちゃんがぐっとチョコレートを引っ張り返した。

「!」

「ううんっ!すっげぇ嬉しい!ありがと!」

「…よかった」

凛空ちゃんが笑ってくれてよかった。



みんなはどうたっだのかな?

気持ちは届いたのかな?

みんなにとって思い出になる今日になってたらいい…な。


ね?