#青春リクエスション

「あっ」

教室に戻る途中、隣で凛空ちゃんが大きな声を出した。今度は何かと思うと、すぐにスマホを見せてきた。

「?」

差し出されたスマホを受け取って画面を確認する。それはさっきも言っていた、Speaksの画面。


“ドキドキしたい!#青春リクエスション”


これ見たし、何も変わって…

「あっ」

「な!だろ!」

返信が来ていた。少し前に見た時は何もなかったのに。


“ドキドキした?”と、犬の絵文字を添えて。


「………は?」

「やっぱ青春リクエスションだよ!」

「いや、待って待って!え、あのゴールデンレトリバーが!?」

「だって俺ら超ドキドキしたじゃん!」

「違う意味でね!!」

なんなの、青春リクエスションって…
超くだらないじゃんっ!

そりゃ廃れアプリSpeaksだもんね、その程度か。なんかガッカリしちゃった。

「これさぁ、アカウントのとこ見て」

「ん、どれ?」

「“ドキドキした?”って言ってる方のアカウント」

「えっとー…@bule_spring」

「青い春で青春、青春リクエスション!!」

ははっと凛空ちゃんが笑った。

うん、本当に。ちょっとおもしろそうって期待した自分が逆に恥ずかしい。
こっちは私の高校生活何も関係なく終わりそう。もう見ることもないかな。

それよりも野木会長の方が私の高校生活大事な存在になりそうだと、そんな風に感じていた。