「僕が生徒会長でよかったと言われるような学校にしていきたいと思いますので、これからみなさんよろしくお願いします」
野木会長が頭を下げるとパチパチパチと歓迎の拍手が注がれた。
わかんないけどきっとみんな野木会長に期待しかなくて、私も全力で拍手をした。
絶対楽しくなる気しかしない、高校入学して初めてこんなにワクワクしたー…
そう思った時だった。
ワンッ、拍手を遮るような鳴き声が体育館に広がった。
「!」
鳴き声だけでわかる。後ろの方がざわざわしてる。
かわいいとか、大きいとか、キャッキャした声も聞こえる。
ワンワンってリズミカルな鳴き声は人懐っこさを感じる。
やばい、これが俗に言う“犬入って来た”だ!!!
ワンワンと吠えながら、舌を出したゴールデンレトリバーが体育館中をぐるぐると回り出した。
早く保護しなきゃと先生たちは大パニック、それをスマホカメラで写真を撮る生徒たち。
それに怯える私。
「ねぇ凛空ちゃん!犬がこっち来たらどうにかしてね、私苦手だからっ」
凛空ちゃんの制服、二の腕辺りをぎゅっと掴んだ。つい力が入ってしまってグッと引っ張りながら顔を見ると私とおんなじ顔してた。
「え!?凛空ちゃんも苦手!?」
「に、苦手じゃないよ!全然、へっ平気!」
「苦手じゃん!!!」
手を握り合って2人であわあわしていると、思う存分走って満足したゴールデンレトリバーが壇上に上る階段の前で止まった。
クゥンと甘い声を出しながら。
でも私からしたら可愛い~♡とか全然ならなくて、お願いだからこっち来ないでと願うばかりで。
だって前から2列目の私たち。
階段の目の前、青野さんたち絶対動かないで…!ってなるべく身を隠した。
ワンッ、と元気な声がする。
ビクッと肩を震わせた時、コツンコツンコツンと音を鳴らして救世主が現れた。
さっきまで壇上で演説をしていた野木会長だ。
ゆっくり階段を下りてきた野木会長がゴールデンレトリバーの前にしゃがみ込み、“大丈夫?”と頭を撫でた。
た、助かったーーーーー!!!
「お前、どこから来たの?勝手に入ってきちゃダメじゃないか」
優しい。
犬に対しても優しい、野木会長…。
わしゃわしゃと撫でて、ゴールデンレトリバーもどこかしら嬉しそうだった。
「「………。」」
私と凛空ちゃんと言えば安心してすっごい疲れたんだけど。
はぁーっと息を吐きながら手を離した。
無事ゴールデンレトリバーは保護され、朝礼も終了となった。
終わりの挨拶を聞いてそれぞれ自分のクラスに戻った。
この時、私の瞳には無邪気に笑う野木会長の顔だけが頭に焼き付いてた。
野木会長が頭を下げるとパチパチパチと歓迎の拍手が注がれた。
わかんないけどきっとみんな野木会長に期待しかなくて、私も全力で拍手をした。
絶対楽しくなる気しかしない、高校入学して初めてこんなにワクワクしたー…
そう思った時だった。
ワンッ、拍手を遮るような鳴き声が体育館に広がった。
「!」
鳴き声だけでわかる。後ろの方がざわざわしてる。
かわいいとか、大きいとか、キャッキャした声も聞こえる。
ワンワンってリズミカルな鳴き声は人懐っこさを感じる。
やばい、これが俗に言う“犬入って来た”だ!!!
ワンワンと吠えながら、舌を出したゴールデンレトリバーが体育館中をぐるぐると回り出した。
早く保護しなきゃと先生たちは大パニック、それをスマホカメラで写真を撮る生徒たち。
それに怯える私。
「ねぇ凛空ちゃん!犬がこっち来たらどうにかしてね、私苦手だからっ」
凛空ちゃんの制服、二の腕辺りをぎゅっと掴んだ。つい力が入ってしまってグッと引っ張りながら顔を見ると私とおんなじ顔してた。
「え!?凛空ちゃんも苦手!?」
「に、苦手じゃないよ!全然、へっ平気!」
「苦手じゃん!!!」
手を握り合って2人であわあわしていると、思う存分走って満足したゴールデンレトリバーが壇上に上る階段の前で止まった。
クゥンと甘い声を出しながら。
でも私からしたら可愛い~♡とか全然ならなくて、お願いだからこっち来ないでと願うばかりで。
だって前から2列目の私たち。
階段の目の前、青野さんたち絶対動かないで…!ってなるべく身を隠した。
ワンッ、と元気な声がする。
ビクッと肩を震わせた時、コツンコツンコツンと音を鳴らして救世主が現れた。
さっきまで壇上で演説をしていた野木会長だ。
ゆっくり階段を下りてきた野木会長がゴールデンレトリバーの前にしゃがみ込み、“大丈夫?”と頭を撫でた。
た、助かったーーーーー!!!
「お前、どこから来たの?勝手に入ってきちゃダメじゃないか」
優しい。
犬に対しても優しい、野木会長…。
わしゃわしゃと撫でて、ゴールデンレトリバーもどこかしら嬉しそうだった。
「「………。」」
私と凛空ちゃんと言えば安心してすっごい疲れたんだけど。
はぁーっと息を吐きながら手を離した。
無事ゴールデンレトリバーは保護され、朝礼も終了となった。
終わりの挨拶を聞いてそれぞれ自分のクラスに戻った。
この時、私の瞳には無邪気に笑う野木会長の顔だけが頭に焼き付いてた。



