なんだかんだ盛り上がった夜、盛り上がりすぎて寝坊しそうになった(藤代先輩はちゃんと起きていたけど)。
合宿2日目、すでに期待高まる情報いっぱいで始まった。
「登録者数200人突破…!」
スマホを見ながら暁先輩が口を開けたまま驚いている。右手で口を押え感動ゾーンにも入った。
「凛空くん…!すごいね、俺たちが半年かかった登録数を1日もかからないで超えてくるなんて!」
生徒専用非公式アプリ”Speaks”、昨日までは登録数94人だったのに今見たら206人になっている。凛空ちゃんのちょっとした宣伝だけでこんなにも増えた。
「1回言えばあとは口コミなんで、仲いい奴にはLINEで直接Speaksのアプリ教えましたし」
だとしても簡単にできることじゃないと思うけど、なんのおごりも見せない凛空ちゃんはすごい。
「昨日と比べて呟きも遥かに増えてるな」
馬渕先輩がパソコンをカタカタしている。管理者である馬渕先輩からはどの時間帯に呟きが多かったとか、何が呟かれてるか詳しく見られるらしい。
「ちなみに一番見られてるのは@riku_arisueeeeeの“青春リクエスションって名前だせぇ”」
「あ、それ俺っすね!俺のアカウント!」
「おう、知ってるわ。まんまだしな」
見せてもらうといいねもいくつかされてたし、それ対してコメントもされてた。
「青春リクエスションのフォロワーも増えてるぞ、100人以上フォローしてくれてる」
たった1日でことがこんなに変わるなんて。やっぱりワクワクせざる得なかった。
「ありがとう、凛空くん。夢に近付いた気がするよ…!」
「これに夢なんてあったの?」
「何言ってるの花絵ちゃん!俺は学校中を幸せにしたいんだよ…!」
「へぇー」
相変わらず塩対応で返されてたけど、もう怖いとは思わなくて私がそんなやり取りにクスッとしそうになった。
「お礼にこれあげる」
「なんすか?これ」
胸ポケットから暁先輩が凛空ちゃんに何か手渡した。
「愛和高校創立20周年記念の鉛筆!」
ちなみ今は創立26年。
単純計算、凛空ちゃんがもらったのは6年前の記念品ってことになる。
「いや、いらないですよ!」
「これめっちゃくちゃ余ってるんだよなー」
手を伸ばした馬渕先輩がその創立記念日鉛筆を凛空ちゃんからひょいっと奪った。
「鉛筆なんて今使うこと少ないからな」
基本シャーペンだし、タブレットもあるし、鉛筆なんて小学生以来使った記憶はほとんどない。
しかも創立の記念品って…、いらないよね正直。もっと可愛いのならいいけど、高校の名前ガッツリ入っちゃってるし。
「在庫が余り過ぎて生徒会室にいっぱい置いてあるんだよね、俺も処分に困って」
はぁっとため息を吐きながら暁先輩が悩ましい顔をした。
「そんな物俺だっていらないですからね!押し付けないでください!」
返そうとした馬渕先輩の手をグッと鉛筆ごと押し返した。絶対いりませんから!って付け加えて。
「まだ300本ぐらいあるんだよなー」
「余り過ぎじゃないっすか!」
「俺らの責任じゃないよ?俺らだってその頃ここの生徒じゃないっ」
「暁」
さっきからずっと黙っていた花絵先輩が低音を響かせた。
一気にしーんとし、一瞬で空気が変わる。
「そんなことはどうでもいいから、話を進めて」
創立20周年記念品どうでもいい認定された!
馬渕先輩が持つ鉛筆をサッと手に取り、胸ポケットに戻して今までのくだりはすべてなかったことのように暁先輩がニコッと笑った。テレビの編集点みたいだった。
「さて、こっからは俺の出番だね!」
スマホを持った暁がにこりと笑う。
「でもその前に…凛空くん、だせぇって何?」
あ、気にしてたんだ。
凛空ちゃんは何がっすか?って何もわかってなさそうだった。
合宿2日目、すでに期待高まる情報いっぱいで始まった。
「登録者数200人突破…!」
スマホを見ながら暁先輩が口を開けたまま驚いている。右手で口を押え感動ゾーンにも入った。
「凛空くん…!すごいね、俺たちが半年かかった登録数を1日もかからないで超えてくるなんて!」
生徒専用非公式アプリ”Speaks”、昨日までは登録数94人だったのに今見たら206人になっている。凛空ちゃんのちょっとした宣伝だけでこんなにも増えた。
「1回言えばあとは口コミなんで、仲いい奴にはLINEで直接Speaksのアプリ教えましたし」
だとしても簡単にできることじゃないと思うけど、なんのおごりも見せない凛空ちゃんはすごい。
「昨日と比べて呟きも遥かに増えてるな」
馬渕先輩がパソコンをカタカタしている。管理者である馬渕先輩からはどの時間帯に呟きが多かったとか、何が呟かれてるか詳しく見られるらしい。
「ちなみに一番見られてるのは@riku_arisueeeeeの“青春リクエスションって名前だせぇ”」
「あ、それ俺っすね!俺のアカウント!」
「おう、知ってるわ。まんまだしな」
見せてもらうといいねもいくつかされてたし、それ対してコメントもされてた。
「青春リクエスションのフォロワーも増えてるぞ、100人以上フォローしてくれてる」
たった1日でことがこんなに変わるなんて。やっぱりワクワクせざる得なかった。
「ありがとう、凛空くん。夢に近付いた気がするよ…!」
「これに夢なんてあったの?」
「何言ってるの花絵ちゃん!俺は学校中を幸せにしたいんだよ…!」
「へぇー」
相変わらず塩対応で返されてたけど、もう怖いとは思わなくて私がそんなやり取りにクスッとしそうになった。
「お礼にこれあげる」
「なんすか?これ」
胸ポケットから暁先輩が凛空ちゃんに何か手渡した。
「愛和高校創立20周年記念の鉛筆!」
ちなみ今は創立26年。
単純計算、凛空ちゃんがもらったのは6年前の記念品ってことになる。
「いや、いらないですよ!」
「これめっちゃくちゃ余ってるんだよなー」
手を伸ばした馬渕先輩がその創立記念日鉛筆を凛空ちゃんからひょいっと奪った。
「鉛筆なんて今使うこと少ないからな」
基本シャーペンだし、タブレットもあるし、鉛筆なんて小学生以来使った記憶はほとんどない。
しかも創立の記念品って…、いらないよね正直。もっと可愛いのならいいけど、高校の名前ガッツリ入っちゃってるし。
「在庫が余り過ぎて生徒会室にいっぱい置いてあるんだよね、俺も処分に困って」
はぁっとため息を吐きながら暁先輩が悩ましい顔をした。
「そんな物俺だっていらないですからね!押し付けないでください!」
返そうとした馬渕先輩の手をグッと鉛筆ごと押し返した。絶対いりませんから!って付け加えて。
「まだ300本ぐらいあるんだよなー」
「余り過ぎじゃないっすか!」
「俺らの責任じゃないよ?俺らだってその頃ここの生徒じゃないっ」
「暁」
さっきからずっと黙っていた花絵先輩が低音を響かせた。
一気にしーんとし、一瞬で空気が変わる。
「そんなことはどうでもいいから、話を進めて」
創立20周年記念品どうでもいい認定された!
馬渕先輩が持つ鉛筆をサッと手に取り、胸ポケットに戻して今までのくだりはすべてなかったことのように暁先輩がニコッと笑った。テレビの編集点みたいだった。
「さて、こっからは俺の出番だね!」
スマホを持った暁がにこりと笑う。
「でもその前に…凛空くん、だせぇって何?」
あ、気にしてたんだ。
凛空ちゃんは何がっすか?って何もわかってなさそうだった。



