#青春リクエスション

「ノギ、夕飯どうする?」

「あ、買いに行く?購買はもうやってないし、こっからだとちょっと行ったとこのコンビニかなー」

「そうだなー、じゃあ…ジャンケンでもするか!」

馬渕先輩がニヤリと笑ってグーにした右手を出した。続けて暁先輩が手を出して、しょうがないわねと藤代先輩が手を出した。そしたらまぁノリで凛空ちゃんが出すから私も…って出したんだけど、一発で決まった。

チョキを出して、負けた。

買い出し決定。

同じようにチョキを出して負けた暁先輩と。

「今日俺星座占い最下位だったんだー、アンラッキー」

私的にはラッキーですけど…!

しょんぼり肩を落とす暁先輩を横目にチョキ出してよかったって、勝手に幸運のピースだとか思っちゃった。

暁先輩と2人で1番近いコンビニまで歩いた。

買うものはお弁当5個とペットボトルの飲み物5本と…

「お菓子も買おう!」

「いいんですか?」

「こっそり買っちゃばいいよ」

口角を上げた暁先輩がにひっと笑う。

その笑い方はいたずらっこみたいだった。

暁先輩が持つカゴにぽんぽんと入れていく。おいしそうなお弁当をテキトーに5個選んで、これもジャンケンだなって暁先輩が言いながら。

「おっけ、じゃあ行こう」

重くなったカゴを持って、レジとは反対方向へくるっと向きを変えた。その後ろをついて、向かった先は…お菓子コーナー!!!

何を買おうかなって棚にギッシリ並べられたお菓子を見て考える。

「由夢ちゃん好きなの選んでいいよ」

好きなの…迷うなぁ。
ポテトチップス系もいいし、チョコレートも好きだし、クッキー…

あ、これにしよ!私のお気に入り!

パッと手に取った。

それと同時、反対側から同じように手が伸びて来て一緒に取る形になった。

そのまま手を伝った視線は瞳まで。

その相手は絶対暁先輩以外考えられなかったんだけど、パッチリ合った瞬間即座に避けた。

「わっ、すみません!」

1つの商品を2人で持ったこの状況、それはなんだか変な感じですぐに手を離した。

「由夢ちゃんもこれ好きなの?」

「す、好きです」

「じゃあこれ買おっか!」

にこっと微笑んで、カゴに入れられた。

意識しすぎ私…!

別に手が触れたわけでもないし、偶然同じもの手に取っただけだし、同じものが好きなだけ…っ


やばい、たったそれだけなのに。


好きだって思った途端、世界が全然違って見える。

全部がキラキラ見えて、全部にドキドキして、何もかも私の心を揺さぶって来る。

こないだまで普通に食べてたシューチョコレートだって、カゴの中で揺られてるだけなのになんでこうも愛しく見えるんだろう。

恋って忙しいんだね。