“青春リクエスション”



退屈な学校生活を少しだけ彩ってくれる、まるで魔法の呪文みたいな言葉。


やってほしいことを生徒専用非公式SNSアプリ“Speaks”で呟くと本当に叶えてくれる、うちの高校で噂される不思議な出来事ー…







は、野木暁会長たち生徒会のメンバーが考えたちょっとだけ学校を楽しくさせるプロジェクトだった。

最初は素性の知れない胡散臭いあれだなと思ってた。

信用してなかったし、関わらないつもりだった。

なのにちょっとセンチメンタルな気分で思わずリクエストしてしまった。


ちなみにやってほしいことを呟くことをリクエスト、呟いた人のことをリクエスターと呼ぶらしい。


リクエストをするにあたって簡単なルールがある。


まずあくまでコンセプトは退屈な高校生活を少しだけ彩ることなので、費用がかさむような大がかりなことは不可能。

それ故に具体的な要望には答えられない。

次にリクエスターもリクエスト内容も個人を特定することは発言してはいけない。もちろんその場合は叶えられない。


またこのアプリ、Speaksは生徒会会計の馬渕心平先輩が作ったもので、野木会長いわくセキュリティは万全なんだとか(本当か知らないけど)。

そしてセンチメンタルな気分で井住由夢が呟いてしまった内容はこちら…



“好きな人とデートがしたい#青春リクエスション”



野木会長が言うには、好きな人が誰か特定されないなら叶えることは可能だと。
生徒会副会長の藤代花絵先輩の指摘虚しく話は進み、好きな人不在のデートなんて聞いたことないけども…

ここで野木会長の嫌いじゃなければ好きだよねというとんちで新たな説が生まれた。


「初めてのリクエストは叶えてあげたいんだ。だから好きな人は無理だけど、デートは叶えてあげられる。今回は特例だよ?嫌いじゃない俺とデートをしよう!」



そんなわけでイマココ。