放課後、もう一度青春リクエスションから来たメッセージを確認した。

「由夢、行く?」

「凛空ちゃん…、考えたんだけどやっぱやめとこうかと思う。非公式でやってるのなんてロクなもんじゃないし、これ以上関わらない方がいいかなって」

「そう…?由夢がいいなら、俺はいいけど」

「うん、ありがとね!」

凛空ちゃんとばいばいをして教室を出た。

そもそも身バレしたところで私もあっちもここの生徒、特に問題ないじゃん。
変な呟きしちゃったけど、消しちゃえばいいんだ。証拠隠滅だよ、そうだそうだ。

「よし、帰ろう!」

寧々は今日も部活だし、1人で下駄箱に向かおうと思った。
スマホで時間を確認して気付いた。

「あ、電車行っちゃってる!」

今日もホームルームは長引いてたのか…また暇な時間出来ちゃったな。

はぁっと息を吐きながら、開いたスマホついでにSpeaksのアプリを消そうと思った。
トンッとタップして、削除画面を開く。


“アンインストールしますか?”


「………。」

電車が来るまで25分ある。

この時間はすることがなくて暇なんだよね…

一度“はい”を選択しようとした人差し指を“いいえ”に変えた。

もう一度メッセージを開く。

構内図、この教室ってどこなんだろう?裏側の校舎だよね?普段私が行かない方だ…

それが一層怪しさを増したけど、気になってしまった。

指定された先は北校舎の最上階4階、左奥の教室。

細かくどの教室か記された中でここだけは何も書かれていない。

「…教室の前まで行って帰って来ればいっか!」

下駄箱とは逆の、北校舎まで走った。


北校舎の最上階4階、左奥の教室。


初めて来た。

普段は自分のクラスがある南校舎中心にいるから。

ハァハァと乱れる呼吸を整えながら、脈打つ心臓辺りをぎゅっと右手で抑えた。

「ここがそうなの…?」

扉の前、上にある室名札が気になった。

え……?
ここは、てゆーかこれって…


“生徒会室”


!?

扉の上の室名札にはそう書いてある。

え、生徒会室?なんで??呼ばれた先が“生徒会室”…?

耳をそばだてるとわいわいと賑やかな声が聞こえる中で、野木会長の声がした。

だから思わず開けてしまったんだ。

その扉を。

引き寄せられるように、踏み出した。




私の高校生活はすでに色づき始めてたんだ。