目の前に直人が言っていたロッカーがある。


話の中にあった通り赤いテープがグルグル巻にされていてその姿は異様だった。


「この中に死体があったのか」


見ているだけで気分が悪くなりそうなロッカーに実は平気な顔で近づいていく。


和輝はこのロッカーコーナーに来たときからなにか空気が違うと感じていた。


人が少ないせいなのか、空気がほとんど動いていなくてよどんでいる感じがするのだ。


封印されたロッカーに近づけば近づくほどに両腕に鳥肌が立っていく。


「よし、開けてみよう」


「はぁ? なに言ってんだよ、さすがにまずいだろ!」


なにも感じていない様子の実を慌てて引き止める。


ロッカーに伸ばした腕を掴まれた実はムッとした表情で振り向いた。


「なにすんだよ。ちょっとロッカーを開けて確認してみるだけだろ? 手を離せよ!」


そう言って手を振りほどこうとするけれどビクともしない。


ぶんぶんと自分の手を振ってみても解けない。