昨日来た帰宅してから何度か話の練習をした実は、緊張した表情で公園に入っていった。


放課後になってから少し遅れて来たから、もうみんな集まっている。


「あ、来た!」


アズサがこちらを指差してそう言ったので、全員の視線が実へ向けられる。


それを受けて実の表情は更にこわばるが、冷静さをよそおって東屋へと近づいた。


「よぉ、もうみんな来てたんだな」


そうだろうとわかっていて来たのだけれど、実はわざとらしくそう言って、空いていた真ん中のベンチに座った。


みんな語り手に中心に座ってもらおうと思ったんだろう。


そこはみんなの意識をいっしんに受ける場所でもあり、実は何度も身じろぎを繰り返した。


普段は目立つことばかりやっているのに、今日ばかりは落ち着かない。


緊張をさとられないように笑みを浮かべ、7人の顔を眺めた。


みんな真剣な表情をしている。


ここで失敗するわけにはいかない。