刹那くんがたしなめると、琉夏くんの視線はまたスマホへ。


「ほんと空気悪いなあ。今日はお祝いの席なんだよ? ったくよお……。にしても、寧々ちゃんすげーよな、大抜擢じゃん」


そんなときでも、椿くんの明るさはほっとさせられる。


「でも、編入そうそうローズっていう高尚な称号をもらっちゃって、正直どうしたらいいのかわからなくて……」

「俺らだって同じだよ。それを狙って入ってくるやつも多いって言っただろ? 今日だって、すれ違いざまにらまれたわ」


そう言って肩をすくめる椿くん。


「あいつだろ、2組の東田(ひがしだ)。親父が陸上のオリンピック選手だったっつうヤツ」


琉夏くんも聞いてはいるのか、カニの身を器用に殻からほぐして口へ放り込む。


「そうそう! めっちゃ英才教育されて育ったらしいし、確かに身体能力がすごいのは俺も認める」

「でもよ、お前もバケモンだよ?」


琉夏くんて、褒めてるんだか何だか。