「……なんだよ」
想像以上に低くて冷たい声に、一瞬ひるんだけれど、勇気を出して言った。
「お昼ご飯……食べないんですか?」
「いらねえ」
えっ、食べないの?
食欲旺盛なはずの男子高校生がお昼ご飯を食べないなんて信じられない。
「そんなのダメですよ!」
「……あ?」
もう片方の目も開く。
今にも噛みつかれそうな鋭い瞳に負けずに続ける。
「母が、食べることは生きる基本と言ってました」
「…………はあ?」
「人間、食べてなんぼなんです!」
どんなにつらいことがあっても、食べることだけはやめちゃダメなんだって。
それが、生きることだって。
「しらねーよ、んなの」
彼は興味なさそうに、再び瞼を閉じてしまった。