ランチクロスをほどき、両手を合わせて。
「いただきます」
タッパーの中には、カラフルに彩られたおかず。
卵焼きにブロッコリーにトマト。
今日は手の込んだものが作れなかったら、素材そのものが多い。
それでも、彩りよく詰めてきたのに。
「……あーあ……」
こんな気持ちでひとりきり、学校の隅っこで食べることになるなんて、想像もしてなかった。
箸先を口にくわえながら、ぼんやり空を眺める。
ふと顔を横にむけると、さっきの男子生徒はまだ寝ていた。
お昼ご飯、食べないのかな?
手ぶらだし、食べた形跡もない。
私はそっと近寄った。
「あのお……」
腕をずらして、片目をあける彼は面倒くさそうに私を見た。